イスラム教犠牲祭&羊&ヨルダンでも穀物価格高騰の影響?!2009-12-03 12:00

11月27日から30日はイスラム教の犠牲祭(イード・ル・アドハー)の連休でした。
犠牲祭はこの時期行われるメッカへの大巡礼(ハッジ)の後のお祝いです。
羊がいけにえとして捧げられ、
家庭によっては羊を丸々一匹おろし、親族間で分け合ったり、
場合によっては貧しい人に配ったりすることもあります。

この通り、デパート等、街中では羊の飾りでいっぱい(↓)


砂漠の中の国道を走っていると
普段は砂漠地帯の奥深くにいるベドウィン(砂漠の遊牧民)も、
この時期なぜかしら国道沿いに移動してきます。
(写真は死海沿いに移動してきたベドウィン、テント暮らしです
おそらく、家畜の羊を売るためだと思います。


この連休、寒くなったアンマンを抜け出し、
昼間はTシャツでも過ごせる暖かいアカバへ来ました。
さっそく羊料理を作ろうと、ローカルマーケットに買出しです。

肉屋の前で(↓)
売られてきた羊と地元の男の子。
ヨルダンの羊はどういうわけかお尻(ちょうどシッポのある箇所)から
30センチ四方程度の脂身の塊が、ぶらさがっています。
この脂身の塊が、これまた美味しいのです(日本では脂身等食べませんでしたが)


肉屋の前、羊の頭ちょっと怖いです(↓)
でも、食べ物に感謝するという意味で、
人によっては羊の頭も調理して食べます。


とりあえず、肉屋でラムチョップとなる背骨の箇所、
とっても柔らかくて美味しい部分を購入。
肉屋のおじさんに骨をとってもらいました(↓)


ヨルダン産の骨付きラム肉1.4kg購入、お値段は18ドルぐらいでした。
骨をとってもらった後は800g程度です。


ヨルダン産の羊は大変美味しいことで有名で、
ニュージーランド等からの輸入物より常に値段が高いです。
しかし、1年ぐらい前からヨルダン産のラム肉の値段があがりはじめ、
現地ではかつてない高級肉となってしまっています。
安い時では1kgあたり10ドル程度だったものが、今では15ドルです。
ヨルダン人は肉といえばラム肉を食べてきたのに、
大家族の家庭等、簡単には手が出せなくなってきた人もいます。
値上がりの原因の一つは穀物価格高騰です。

てっきり羊は放牧され、
草だけを食べているのかと思っていましたが、違うようです。

羊を育てているベドウィンたちは、1日の放牧を終えると、
羊に飼料を与えていて、
これが大豆や大麦のカス(ビール製造過程にできる麦の皮等)からなっています。

飼料の原材料価格が高騰したため、
ベドウィンも羊を維持できず、手放すことが多くなったようです。
これらの飼料に対し、政府が補助金を一時的に入れたこともあったようですが。

さらに、ヨルダン産のラム肉は美味しいことでも有名なので、
サウジアラビア等に流れることも多いです。
結果としてはヨルダンの市場に出回る羊の数が減って
高級肉となってしまっているのが現状です。

さて、購入したラム肉は八百屋(↓)で買った野菜とともに調理しました。


煮込みです(↓)


お味は超ジューシー。
暖かい気候の中、外でビールとともに(↓)絶品です!


食べ残したラム肉も翌日トマト煮込みに(↓)
ヨルダン産のラム肉は本当に美味しいですよ!

ヨルダン、2009年第2四半期のGDP成長率は2.8%2009-10-05 06:22

ヨルダンの2009年第2四半期のGDPは3,985milJD(5,622milUSD)前年同期は3,675milJD(5,154milUSD)。

第2四半期成長率は2.8%、第1四半期は3.2%、上半期は平均すると3%となりました。

成長を記録した部門は以下の通り

1位 農業・狩猟・漁業部門 14%増
2位 建設部門 13.2%増
3位 公共サービス部門 6.8%増
4位 運輸部門 4.4%増
5位 卸売・小売業部門 3.6%増
6位 製造業部門 3%増

一方で保険フィナンシャルサービス部門、民間サービス部門の成長は減速し、
特に鉱業部門は前年同期比9.6%減となりました。
ヨルダンは農業セクターの強化に取り組んでいます。
(↑)これは砂漠の中のバナナ畑

良く見かけますが、水不足のヨルダンでどうして生産できるのか
いつも不思議に思っています。

アラブ版「風刺画」2009-10-02 20:07

本屋さんでこんな本を見つけました。
左上:ヨルダンを中心としたアラブ日常生活の風刺画集
右下:「OIL on CANVAS」という表題の湾岸戦争やイラク戦争等の中東問題を題材にした風刺画集

ヨルダンでは有名な風刺画家Emad Hajjaj氏(1967年生まれ、パレスチナ難民としてヨルダンで育つ。イルビットにあるヤルムーク大学卒。)の画集です。

中東問題、社会問題、アラブの日常等、幅広いジャンルを相当くだけだ漫画で表現していて、おもしろくて夜中の2時まで見入ってしまいました。
アラビア語が読めなくとも、中東一般に関心のある方なら十分に理解できる内容です。
(↑)アラブ人お父さんの日常その1

真ん中お父さん、左が嫁、右が嫁のお母さん。
友達に電話するお父さん「悪いけど、カタリーナ(ハリケーン)津波のニュースを見ないといけないから、今日は行けないです」

実はヨルダンではお父さんは家で肩身が狭い立場であることがしばしば。
嫁にダメ夫となじられ、お嫁さんの上には、さらに怖い嫁の母。
旦那をもっとしっかりさせるよう、もっと色々なことをしてもらうよう、嫁の母は娘の強力なアドバイザーなのです。
(↑)アラブ人お父さんの日常その2 (ラマダン編)

Daily Production Lifeとの表題です。
夜寝て、
会社で寝て、
家に帰って昼寝して、
日没後に食事をとって、
夜通しテレビを見て、
冷蔵庫の中をあさって夜明け前の最後の食事をとって、
また寝る。

う~ん。これはラマダン中に限った出来事なのか、、、

(↑)OIL on CANVASは結構シビアな内容

中東のお三方、これは湾岸諸国代表団。イラク戦争開始前の時期に行われた会合の様子です。米国旗色の手により「見ざる、聞かざる、言わざる」をされているの分かりますか。。。

OIL on CANVASはかなり微妙な問題に食い込んだ表現となっているので、こちらのサイトからどうぞ(↓)
中東問題にご関心のある方オススメです(↓)

http://www.mahjoob.com/index.php?L=En

ヨルダンでの世界金融危機の影響は限定的2009-09-30 22:40

世界金融危機のヨルダンに対する影響については極めて限定的であると言えます。

世界金融危機が発生した当初、ヨルダンの景気は概ね好調であったこと、世界的不況との接点が限られていたからです。

しかし、9月に発表された第3四半期の決算を見ると、ヨルダンでも世界金融危機による影響が民間銀行のパフォーマンスに少なからず現れていることが分かります。

Arab Bank Groupの営業収益は昨年同時期と比較して8%減(977.7milUSDから898.9milUSDに減)。上半期税引き前利益は26%減(572milUSDから452milUSDに減)。

Housing Bankにいたっては、上半期税引き前利益が50%減(90milUSDから44milUSDに減)。

ヨルダン中央銀行によれば、上半期税引き前利益は平均して約30%減少したとのこと。

この原因として、ヨルダンの民間銀行にとって住宅ローン等の融資業務は利潤をあげる商品であるにも拘わらず、ローンの審査基準が厳しく、さらに世界金融危機もあって新規融資については慎重になったこと。

ヨルダン中央銀行は2008年11月以降3回にわたり金利を引き下げましたが(現在5.25%)、もっと早い時期に金利を下げるべきだったとの批判も一部ではあります。

ただし、実際のところ、新規ローン審査にあたって、不適格となったのは全体の9%であると報告されており、銀行預金残高は増えたようです。
消費者側も世界金融危機の影響について慎重になり、新規借入や投資等を控えたことが分かります。

世界金融危機の最悪期が過ぎたことにより、2010年前半にはヨルダンの銀行部門も回復し、ヨルダン経済も序々に回復するとの見方が強まっています。
(↑)ヨルダンのお札は歴代国王
ドルペッグ制の採用により1JD(ヨルダン・ディナール)=1.41USD